質問箱
●みなさまの医療に関するご質問にお答えします。
内科
Q.1
最近の肝臓病にはどんな特徴がありますか。
A.1  
元々日本人の肝臓病は、ウィルス性肝炎が多かった。1970年代にA,B型肝炎の研が進み、輸血後肝炎が
無くなると期待されたのにそうならなかった。第3のウィルスの介在が明確になり、非A非B肝炎としてその
原因ウィルスの発見にしのぎを削っていたが、1989年にカイロン社でウィルスの遺伝子が割り出されHCV
(C型肝炎ウィルス)と命名された。非A非B肝炎の大半(9割以上)はC型肝炎であった。
現在A,B,C,D,E,G,TTVが判別できるようになった。
 B型肝炎は、母子間感染(出産の時に母から子供に感染する)が予防処置の結果減少しつつあり、その影響は
薄れつつある。一方、C型肝炎は診断が出来るようになって以後、肝炎全体に占める割合も増しつつある。
C型肝炎の感染経路は、輸血・血液製剤の使用の他、汚染された注射器の使用等とされており、性交渉によって
起きるケースは稀とされている。C型肝炎ウィルスに感染すると約50%が、C型慢性肝炎になり約20年で
肝硬変に進み、その中から肝癌が生じる場合がある。
 A,B,C型肝炎以外の肝炎は極めて稀で、専門医が綿密に検討しなければ診断がつかない場合が多い。 
一方、アルコール消費量の増加に伴って、かつては少なかったアルコール性肝障害が増加しつつあるが、純粋な
アルコール性肝障害は少なく、ウィルス肝炎+アルコールと言うケースが多く、取り扱いは更に注意が必要。
健診で脂肪肝を指摘される人が増加しているのは、所謂生活習慣病の増加と軌を一にしている。
肝臓の指標(GOT,GPT)に一喜一憂する必要はない。
精神
Q.1
最近TV等でPTSDという言葉を聞きますがPTSDとは何ですか?
A.1
PTSDとは、Post-Traumatic Stress Disorderの略で心的外傷後ストレス障害の事です。
この病気は、アメリカでベトナム帰還兵が次々と心の不調を訴え、アルコール中毒になったり、自殺を企てたり、
社会生活を営めなくなったりが目立ち、精神科医のグループが帰還兵のカウンセリングを通して確立した概念です。
我が国では、あまり馴染みがありませんでしたが、阪神・淡路大震災のあと、注目を浴びるようになりました。
被害にあわれた方々が、復興後も心の不調を訴え、そこで初めて、「心的外傷後ストレス傷害」という名前に
スポットが当てられるようになりました。
Q.2
PTSDについてもう少し詳しく教えて下さい?
A.2
★PTSDが (1.)3ヶ月未満に発症するものを急性PTSD。(2.) 3ヶ月以上に発症するものを慢性PTSD
(3.) 外傷6ヶ月以後に発症を発症遅延PTSD。(4.) 事件後一ヶ月までの障害を急性ストレス障害(ASD)
といいます。一般にPTSDで言われている心的外傷とは、通常の人が経験する範囲を超えた出来事で、
ほとんどすべての人に著しい苦痛となるものとされています。
また、PTSDと同一ではありませんが、心的外傷の初期症状で急性ストレス障害(ASD)を起こすことがあります。
心的外傷の初期症状として、感覚や感情の鈍麻ないし麻痺、疎隔体験、離人体験、記憶の喪失、興奮、遁走、
ないしは心悸昂進、発汗等の自律神経昂進症状がみられます。この症状はPTSDの症状に類似しています。
症状の発症が、心的外傷から4週間以内で、持続期間が4週間以内となっています。
しかし、PTSDの初期段階もこの中に含まれている場合もあります。
PTSDの症状として、外傷記憶が夢や錯覚やフラッシュバック(心的外傷体験時の恐怖等が再現される事)
を引き起こし、本人はこれを避けるためにこの外傷を思い出させるような刺激を極度に避けること、そして
そのために生ずる不眠や焦燥や集中困難、過覚醒(驚愕反応の亢進等)がこの診断基準に加えられ症状が
1ヶ月以上持続します。また、PTSDは他の不安障害、気分障害、薬物依存を合併しやすいのも大きな問題点です。
Q.3
PTSDはどうやって診断されますか?
A.3
下記の診断基準にそって診断されます。
【外傷後ストレス障害(PTSD)DSM-4 診断基準】
A. 患者は以下の二つがともに認められる外傷的な出来事にさらされた事がある。
(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、一度または数度、または自分または他人の
  身体の保全に迫る危険を患者が体験し、目撃し、または直面した。
(2)患者の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
  注 子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現される事がある。
B. 外傷的な出来事が、以下の一つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。
(1)出来事の反復的で侵入的で苦痛な想起で、それはイメージ、思考、または知覚を含む。
  注 小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返す事がある。
(2)出来事についての反復的で苦痛な夢。
  注 子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢である事がある。
(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする(その体験を再体験する感覚、
  錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、また覚醒時または中毒時に起こるものを含む)。
  注 小さい子供の場合、外傷特異的な再演が行われる事がある。
(4)外傷的できごとの一つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけにさらされた場合に生じる、
  強い心理的苦痛。
(5)外傷的出来事の一つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけにさらされた場合の生理学的反応性。
C. 以下の三つ(またはそれ以上)によって示される、
 (外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺。
(1)外傷と関連した思考、感情または会話を回避しようとする努力。
(2)外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力。
(3)外傷の重要な側面の想起不能。
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退。
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚。
(6)感情の範囲の縮小。(例=愛の感情を持つ事ができない)
(7)未来が短縮した感覚。(例=仕事、結婚、子供、または正常な一生を期待しない)
D. (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、以下の二つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)入眠または睡眠維持の困難。
(2)易刺激性または怒りの爆発。
(3)集中困難。
(4)過度の警戒心。
(5)過剰な驚愕反応。
E. 障害(基準B,C,およびDの症状)の持続期間が一カ月以上。
F. 障害は、臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
▼該当すれば特定せよ。
急性症状の持続期間が三カ月未満の場合。
慢性症状の持続期間が三カ月以上の場合。
▼該当すれば特定せよ。
発症遅延症状の始まりがストレス因子から少なくとも六ヶ月の場合。
Q.4
PTSDは誰でもなるのですか?
A.4
同じ経験をしているのに、PTSDになる人と、ならない人がいます。個人差といえばそれまでですが、個人、個人で
ストレスに対する抵抗力(脆弱性)が違うためだと思われます。ストレスの脆弱性の原因は、まだはっきりとしたものは
分かっていませんが、脳の発達、DNA等の分子遺伝学、心理社会的な発達の問題等、様々な方面から現在研究がなされて
いるところです。前述した様な有名な事件ばかりでなく、女性がレイプされたり、長期に繰り返される、幼児虐待やいじめ、
本人にとってかなりショックな出来事の後にも心的外傷後ストレス傷害になることもあります。災害や犯罪の後に起こる、
心身の不調がPTSDであるわけですが、ストレスに対する抵抗性が極端に低い人や過敏な人の場合、周囲の人にとっては些細な
問題であっても、その人にとっては人生が変わるような大きな出来事かもしれません。すると、広い意味でPTSDに近い状態に
なり得ると思われます。周囲にその人を受け止めたり、支えたりする環境の違いでもこの心的外傷は変化してきます。
つまり予防をしたり、適切な対応でこの障害に対処することができます。  
在宅ケア    
Q.1
在宅ホスピスケアとはなんですか?
A.1
最期まで自分らしい生活を送りたいと願う患者さんにとって、
毎日を家族のみなさんと一緒に過ごせることほど、心をなごませ、勇気づけられることはありません。
誰もが「やっぱりうちが一番だ」とおっしやるように、自由に、気ままに暮らすには自宅に勝る場は
ないでしょう。窓から見えるいつもの景色、見慣れた家具、台所の音、自分の枕、やっぱり家は
落ち着きます。症状が安定し、患者さんが望み、介護するご家族がいつもそばにいらっしゃるなど、
一定の条件を満たせば、在宅でのホスピスケアを選ぶことのできるクリニックがあります。
しかし、一方で末期癌の場合、症状が急変することも十分考えられます。このような事態に備えて
在宅ケアを行っているクリニックでは、担当医が往診したりまた緊急の場合でも携帯電話を持った医師や
看護婦と24時間いつでも連絡相談できる体制をとっています。


*本人および家族側の条件*
A.
絶対的条件
1.
 本人が在宅ケアを切望すること
2.
 家族が在宅ケアを切望すること
3.
 看取る家族がいること
B.
準絶対的条件
1.
 本人が末期癌であることを知っていること
2.
 症状コントロールが簡単で十分できていること
3.
 看取る家族が複数いること
4.
 医師看護婦のいるところから患者の家までの距離が近いこと
C.
望ましい条件
1.
 病院の主治医が在宅ホスピスケアに理解を持っていること
2.
 積極的な延命医療を希望しないこと
3.
 緊急時の入院先がハッキリしていること
*在宅ホスピスにおける医療処置の基本的な考え方*
A.
生活を最優先する
1.
 日常生活を束縛しないかたちでの症状コントロールを考える
2.
 不必要な検査処置は行わない
3.
 処置はできるだけ簡単確実な方法で行う
B.
自然経過に委ねる
1.
 医療処置はできるだけ行わない
2.
 症状コントロールに限定する
C.
本人家族に安心を与える
1.
 不愉快な症状は可能な限り緩和する
2.
 本人、家族の納得を得て処置を行う
3.
 十分な説明を行う

ひとりではもう何もできなくなった時、
患者さんの多くが「こんな状態で生きている意味はあるのだろうか?」という疑問を訴えます。
人は自分の生きてきた意味と、今生きている意味に納得でき、しかも来世に何らかの希望を見いだせた時、
やっと穏やかな心持ちで死を受け入れる準備ができるのかもしれません。その乗り越え方は人によって
さまざまです。しかもその境地は自分でしか切り開くことができません。なぜならそれはだれも見たことの
ない世界なのですから。
それでも私たちはその時まで、あなたに寄り添い、あなたのことばに耳を傾け、あなたと共に考えていきます。
皮膚科
Q.1
ヘルペスについて教えて下さい。
A.1
ヘルペスはウイルスのしわざ
 口や唇に水ぶくれができる単純ヘルペス。これはヘルペスウイルスが原因です。大
人ならほとんどこのウイルスに既に感染しています。10歳位までに体の中に入り込
み、神経細胞の中で生き続け、あなたと生涯を共にするのです。
 感染したときはほとんどが何の症状もなく、普段もおとなしくしているのですが、
カゼを引いて抵抗力が弱まったり、疲労やストレスがあるとか、強い紫外線を受けた
り、胃腸が弱っていたり、何らかの薬剤を飲んでいたりすると起こり易くなります。

ヘルペスの症状とは
 といっても「単純」というだけあって症状はそれ程ひどくなく、かゆみや皮膚の違
和感→水ぶくれ→ただれ→かさぶたというコースで、1〜2週間程度で治まります。
時にはピリピリとした神経痛のような痛みを伴うこともあります。ヘルペスにはT
型、U型があり、症状が出る部位は口の周りや、陰部が多く、口や唇の回りにできる
「口唇ヘルペス」、陰部にできると「性器ヘルペス」と呼ばれます。それ以外の指など
に出来る場合もあります。単純ヘルペスがやっかいなのは、繰り返し発症することで
す。性器ヘルペスは特に再発を繰り返す傾向が強く、場所的にも病院に行きづらくて
一人で悩んでいる場合もあります。他の病気が潜んでいたり、性病などの似たような
ほかの病気だったりする場合もありますので、恥ずかしがったり、怖がったりせずに
病院できちんと診てもらいましょう。

ヘルペスの治療と予防は
 ウイルス自体を退治することはできませんが抗ウイルス剤で症状を軽くしたり、治
癒までの期間を短縮する事が出来ます。再発を防ぐには抵抗力のある体づくりを心が
けることです。栄養のあるバランスの取れた食事をして、適度な運動をして、基礎体
力を高め、暴飲暴食などをつつしんで胃腸をいたわるように注意しましょう。また、
紫外線、寒冷の刺激、また度を越したストレスや疲労、運動などを避けて、とくに風
邪を引いた後の発症が多いので注意してください。
 口唇ヘルペスが出来た時はマスクなどを使用しても構いません。性器ヘルペスが出
来た時はうつさないように性交は控えておいてください。衣類などは洗濯をして、日
光にあてよく乾燥させれば大丈夫です。みんな持っているウイルスですし、余り神経
質にはならなくていいのですが、お年寄りや病人など、抵抗力の弱い人がいるときは
接触に注意をしてください。大人になって初めて感染すると他のウイルス性疾患と同
様に、症状が重くなることがあります。また、妊娠中に感染すると流産につながる場
合もあり、さらに、出産時に産道で胎児に感染すると危険な状態になることがあり、
場合によって帝王切開などの処置が必要となるような場合もあります。

痛みのひどい帯状疱疹
早く専門医へ
 ところで、同じヘルペスウイルスの疾患で非常に痛みの強い「帯状疱疹」がありま
す。やはり神経細胞に潜んでいるウイルスで起こります。これは子供の時に水ぼうそ
う(水痘)として発症したウイルスが神経細胞に潜んでいて、免疫力の低下などに
伴って症状が表れるものです。こちらは再発はせず症状が出るのは1回きりですが、
帯状疱疹後神経痛というガンコな痛みが残ることがあります。早期の的確な治療が必
要ですので、痛くて帯状に広がる発疹を見たら、早く専門医へ。
整形外科
Q.1 変形性関節症に効果ありとされる「健康食品」について教えて下さい。
A.1 変形性関節症に効果ありとのことで、いろいろな健康食品が出てきています。
最近、健康相談で多いのがサメ軟骨(コンドロイチン硫酸)やグルコサミンなどです。
「いわゆる健康食品」は、厚生省によれば、保険機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)
と一般食品(いわゆる健康食品を含む)に別れます。そのほかに医薬品(医師の処方必要)
と医薬部外品が有ります。ここで扱うものは、大部分は「いわゆる健康食品」かと思われます。
 変形性膝関節症に対し、消炎鎮痛剤に、いわゆる健康食品であるコンドロイチン硫酸製剤と、
グルコサミン製剤の混合物を併用した報告があります(戸田ら2000年8月)。
その報告では併用群は若干の効果はあるにしても、消炎鎮痛剤単独群との間に有意差は
認められなかったとしています。
厚生省の見解でも同様で、健康補助食品として使用するのが妥当となっています。
また医薬品と違い副作用のチェックがないぶんお薬よりも注意が必要で、しかも民間療法(薬)
との併用で重篤な臓器障害がおこった報告もあり、要注意です。
 グルコサミンやコンドロイチン硫酸製剤は、まったく効果がないわけでもないですが、
非常に作用も弱く、副作用もすくないので、いわゆる健康補助食品として、分類されて、
一般小売店での販売が許可されているわけです。効果がないわけではありませんので、
一般の方が購入されることを妨げはしませんが、現在、これらのものは、効果に比すれば、
高すぎると思われます。しかし、コストパフォーマンスや副作用のチェックがなく
「いわゆる野放し状態」ということを考えれば、医師としてはあまりおすすめはできません。
やはり通院に便利なお近くの整形外科医の正確な診断のもとに、原則通りの治療を続けることを
おすすめいたします。近道はないのです。
別ページ ●痩せ薬について

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